映画「君の名は」は興行収入111億を突破しました。これは日本の国内歴代興行収入ランキングで堂々20位以内にランクインします。
日本のアニメーション監督としては宮崎駿に続いて2人目となる興行収入100億円の大台です。
それほどまでに大ヒットした映画は本当に面白いのか?誰もがこぞって噂に飛びつく形で観に行きました。
今でも映画館の座席は予約で満席状態です。
私も野次馬のごとく観に行きました。
その実感としての感想と、なぜこんなにも流行ったのかについて考察したいと思います。
新海誠(しんかいまこと)監督というブランド
まず、この映画の監督「新海誠」ブランドについて触れたいと思います。
この新海誠監督は2002年に「ほしのこえ」と言う作品でデビューした監督としては10年選手の比較的新しい監督です。
数々の映画賞の受賞履歴はあるものの、作品数は少なく2016年現在で6本となっています。
経歴として、得に面白いのが「ゲーム」会社出身と言うところです。
ゲーム開発部門への配属を希望するなど、エンジニアとしての知識もあり
会社の製作部門に従事する傍らで、自主製作アニメーション(1998~)を作り出していたバイタリティ溢れる人物です。
ゲーム会社とは言え、物語を作り出す仕事場に入り浸っていたわけですから
根っからのクリエイターであることは間違いありません。
この新海誠監督の中で特に知名度の高い作品と言えば、「秒速5センチメートル」です。
この作品の主題歌は山崎まさよしの「ワンモアタイム ワンモアチャンス」という曲です。
この「ワンモアタイム ワンモアチャンス」は2000年にリリースされた曲で
2007年に公開された「秒速5センチメートル」では実に7年前の曲を採用していることになります。
公開当時 物語の切なさと儚さと共感性は類を見ないほどで、たちまち話題となりました。
この秒速5センチメートルには新海監督の自己投影がかなり織り込まれていると考えられます。
この作品で「THE・新海誠」というブランドが世間に広く浸透したように思います。
噂が噂を呼ぶ展開
2013年「言の葉の庭」を公開、約2年間隔で作品を発表し続けることで
ユーザーから忘れられない存在として位置づけられます。
2016年「君の名は」を公開した時には既存ユーザーだけでなく新規ユーザーも取り込み
雪だるま式上に増えていったファン層は飛躍的に厚く広くなっていったと考えられます。
「言の葉の庭」という作品では公開3日間で興収3000万円というヒットを記録していることから
噂の浸透スピードが恐ろしく早いと証明されています。
この背景ではITの進化、特にSNSの活性化も外せません。
「面白かった」「良かった」という鑑賞者のレビューが即座に情報として広まるから成せる事実です。
下手な広告よりよほど宣伝効果が期待できます。
つまり現代では噂が噂を呼ぶ展開スピードが飛躍的に高まっているのです。
「へぇ、面白そうだなぁ」「みんな見てるから私も見よう」という
人間特有の同人化現象が働いているのです。
実際の鑑賞レビュー
これはあくまで個人的な感想ですが、本作品を見終えたときの感想は
「あれ、こんなものか」です。
可もなく不可もなく。はっきり言って「普通(ありきたり)」という表現がぴったりでした。
私は新海監督の作品は全部見ていますが
「新海監督が作った作品」という想像を悪い意味で超えていない、枠内にハマりすぎている作品でした。
ニュースで飛び交う大ヒット情報、煽られる聖地巡礼など
高評価な情報が先行しすぎてハードルが上がり過ぎていた感が否めません。
特に作品中で使用された 出会いのシーン、別れのシーン、再開のシーンのパターンは
新海誠まんまでした。
予想できる展開、その通りな結末に少しだけ落胆しました。
主題歌として起用されたRADWIMPSは個人的にはいまいちで、少し安っぽい郷愁のような感覚でした。
(あくまで個人的な感想です。)
今後の興行収入の伸びしろ
今後の興行収入としては、伸びしろは徐々に緩やかになり、下降していくと考えられます。
勿論これはヒット作すべてに当てはまりますが、噂としての情報に過熱感があり
急速冷凍されると予想します。
人の噂も75日と言いますが、急速な動員数の減少が起こると考えられます。
実はここには大きな理由があります。
Twitterなどで検索してみればわかりますが
本作に熱烈な感動を抱いたのは、圧倒的に若年層の比率が高いのです。
比較的年長者にあたる人達はいまいちや普通と言った見解もおおく見れます。
私も実際に映画館で鑑賞した時は、学生の多さにびっくりしました。
平日という時間帯なのもありますが、それにしても多い若年層の比率
映画のロングランのヒットには年長者層の支持も欠かせません。
今後の新海監督の作品を楽しみにしています。