ハイリスク・ハイレバで挑む日本株ショート──100万円からのギャンブル投資

ハイリスク・ハイレバで挑む日本株ショート──100万円からのギャンブル投資

先に断っておきます。ここで扱うのは、自己責任のもと損失の速度に耐える前提の戦術です。最大レバレッジを踏むと、数ティックの逆行で追証になり得ます。制度・費用・リスクを理解のうえで検討してください。※ 私自身も散々失敗してきています(それでもなんとか生き残っており、株式投資歴は11年目になりました)


0. 日本市場で空売りを走らせるための“土台”

以下の数値はすべて仮定のシミュレーションです(実際の料率や規約は証券会社・銘柄で異なります)。


1. 100万円ベースの資金設計:レバレッジ別に“生存域”を決める

(A)最大レバレッジ近辺:危険域

  • 前提:自己資金100万円、約定代金333万円(約3.33倍)。保証金30%の下限ギリギリ
  • 帰結:建てた瞬間の維持率は30%。わずかな逆行で追証水準へ。

(B)レバ約3.0倍:攻め寄り

  • 前提:約定代金300万円。必要保証金90万円。余力10万円
  • 追証目安:評価損10万円で維持率30%割れ=株価約+3.33%の逆行で危険水域。

(C)レバ約2.0倍:現実的に握れる域

  • 前提:約定代金200万円。必要保証金60万円。余力40万円
  • 追証目安:評価損40万円まで持てる=株価+20%逆行まで耐える設計。

要点:「建てられる最大」ではなく「生き残れる最大」でサイズを決める。


2. 収益曲線:300万円ショート(=レバ3.0倍)を30日保有した場合

共通仮定:元手100万円/約定代金300万円ショート/30日保有/貸株料(年率)2.0%/売買コスト省略/逆日歩別枠。

株価変動 損益(評価) ROI 貸株料(概算) 30日後の概算損益
-20% +60万円 +60% 約5,000円 +59.5万円
-10% +30万円 +30% 約5,000円 +29.5万円
-5% +15万円 +15% 約5,000円 +14.5万円
+5% -15万円 -15% 約5,000円 -15.5万円(追証水準超え
+10% -30万円 -30% 約5,000円 -30.5万円(強制決済リスク

※ 実際は売買手数料、逆日歩、配当相当額などが別途発生します。


3. “空売りならでは”の見えないコスト

  • 逆日歩(品貸料):例)1円/日×10日×1,000株=1万円10円/日なら10万円。暦日課金・事後公表で読みにくい。
    参考:JPX用語集日々の品貸料公表
  • 配当相当額:権利日にショート保有で配当分を支払い(例:1,000株×50円=5万円)。
  • 価格規制・執行制約:10%ルール下ではベストビッド以下での空売り不可、順張り積み増しが難化。
  • ストップ高の踏み上げ:連続ストップで買い戻し不能 → 含み損だけ増える最悪ケースを想定。

4. 手法の選択肢:リターンの“取り方”を設計する

① 純ショート(ディレクショナル)

狙い:「割高×需給悪化×悪材料」の三拍子(例:決算失望・公募増資・規制変更・ロックアップ解除)。
長所:ダイレクトに取りに行ける。
短所:地合いリスク・逆日歩・配当で収益毀損。

② βヘッジ(個別ショート+指数ロング)

狙い:市場方向(β)を相殺し、銘柄固有の下落(α)のみ抜く。
例:個別200万円ショート+TOPIX連動ETF200万円ロング。指数+2%でも個別-8%なら概算+12万円(-16万円++4万円)。

③ プット買い・インバースETF(損失限定)

狙い:最大損失=プレミアムに限定。
例:プットへ10万円投下→期限内に原資産-10%+IV上昇で2~3倍の射程。外れれば-10万円で終了。


5. “地雷回避”チェックリスト

  1. サイズは「建てられる最大」ではなく「耐えられる最大」:100万円ならレバ約2倍(約定200万円)を上限にし、+20%逆行まで生存域を確保。
  2. 逆指値で強制撤退を自動化:建てた瞬間に逆指値発注。ストップ幅はボラ基準。
  3. イベント管理:権利確定日、決算、指数リバランス、上場来高値更新の有無。
  4. 逆日歩の“気配”を見る:貸借残や過去の品貸料の癖を確認(JPX: 品貸料)。
  5. 価格規制のトリガーに注意:前日比-10%で空売りが制約(JPX FAQ)。
  6. 分散で“単発事故”を薄める:1銘柄集中は踏み上げ時の破壊力が桁違い。

6. ケーススタディ:100万円で“攻め”と“守り”をどう積むか

ケースA:純ショート集中(上級者向け)

  • 構成:200万円ショート×1銘柄(レバ2倍)。
  • 想定:2週間で-12% → +24万円。同期間の貸株料(年2%)は約2,200円
  • 外れたら:+10%で-20万円。さらに+20%で追証ラインへ。

ケースB:βヘッジでαだけ狙う

  • 構成:個別150万円ショート+指数ETF150万円ロング
  • 想定:地合い+3%、個別-9% → +18万円
  • 外れたら:地合い+5%、個別+2% → +4.5万円(地合い寄り)。

ケースC:プット買いで“片側勝負”

  • 構成:プットに10万円。残り90万円は待機。
  • 想定:期限内に原資産-10%+IV上昇 → +10~20万円(2~3倍想定)。
  • 外れたら:-10万円で終了(損失限定)。

※ 倍率やプレミアムは銘柄・満期・ボラティリティで大きく変動します。


7. よくある誤解(=負けパターン)

  • 「高値圏だから下がる」は根拠にならない:需給・カタリスト・バリュエーションの三点で絞る。
  • 初弾から全力:最大レバは撤退幅をゼロに近づける行為。
  • 逆日歩軽視:数日で評価益を食い潰すケースは珍しくない。
  • 規制の読み違い:10%規制で約定できず、狙い帯を空振り。

8. 制度・ルールの一次情報(ブックマーク推奨)


9. 日本の主要ネット証券(公式リンク)


結論:“勝ち筋”はポジションサイズで決まる

ショートは、当たれば速度で稼げる一方、外せば速度で溶けます。銘柄選びより先に、サイズ設計撤退動線を決める。100万円ならレバ2倍前後で生存域を確保し、βヘッジやオプションで片側の破局を消す──それが長期的にリターンを最適化する道です。

CTA:本当に踏み出すなら、最初の30日は「建玉ログ」を付けましょう。建て値、逆指値、想定カタリスト、逆日歩とイベント日。勝ち負けより先に、自分の“速度”を制御できるかを見極める

本記事は特定銘柄・手法の勧誘ではありません。市場・制度・各社ルールは変更される場合があります。必ず最新の公式情報(上記リンク等)をご確認ください。