平均時給の嘘

パートやアルバイトと言われれる非正規の雇用形態にありがちな
「平均時給」という

派遣法改正が直近に迫る中
今回はこの「平均時給」について、私の体験談も踏まえながら記載します。

求人情報の収集方法の一つの考え方として、何かの役に立てて頂ければ幸いです。

平均時給の嘘。地方別の単価時給

こちらは厚生労働省の該当ページを引用して作成した
地域別の最低賃金表です。

都道府県名最低賃金時間額【円】
平成26年
最低賃金時間額【円】
平成25年
発効年月日
北海道748(734)平成26年10月8日
青森679(665)平成26年10月24日
岩手678(665)平成26年10月4日
宮城710(696)平成26年10月16日
秋田679(665)平成26年10月5日
山形680(665)平成26年10月17日
福島689(675)平成26年10月4日
茨城729(713)平成26年10月4日
栃木733(718)平成26年10月1日
群馬721(707)平成26年10月5日
埼玉802(785)平成26年10月1日
千葉798(777)平成26年10月1日
東京888(869)平成26年10月1日
神奈川887(868)平成26年10月1日
新潟715(701)平成26年10月4日
富山728(712)平成26年10月1日
石川718(704)平成26年10月5日
福井716(701)平成26年10月4日
山梨721(706)平成26年10月1日
長野728(713)平成26年10月1日
岐阜738(724)平成26年10月1日
静岡765(749)平成26年10月5日
愛知800(780)平成26年10月1日
三重753(737)平成26年10月1日
滋賀746(730)平成26年10月9日
京都789(773)平成26年10月22日
大阪838(819)平成26年10月5日
兵庫776(761)平成26年10月1日
奈良724(710)平成26年10月3日
和歌山715(701)平成26年10月17日
鳥取677(664)平成26年10月8日
島根679(664)平成26年10月5日
岡山719(703)平成26年10月5日
広島750(733)平成26年10月1日
山口715(701)平成26年10月1日
徳島679(666)平成26年10月1日
香川702(686)平成26年10月1日
愛媛680(666)平成26年10月12日
高知677(664)平成26年10月26日
福岡727(712)平成26年10月5日
佐賀678(664)平成26年10月4日
長崎677(664)平成26年10月1日
熊本677(664)平成26年10月1日
大分677(664)平成26年10月4日
宮崎677(664)平成26年10月16日
鹿児島678
(665)平成26年10月19日
沖縄677
(664)平成26年10月24日
全国加重平均額780
(764)

表を見てもわかるように、商業都市として栄えている地域ほど高いのがわかります。
ここで、比較対象として「東京」と「沖縄」を見てみましょう。

表を見ると、東京888円の最低賃金に対し
沖縄677円です。

一見東京が非常に高いように見えますが「高くない」と私は考えます。
(日本は先進国の中でも人権費が高額な事実がありますがここでは触れません。)

それは基本的な生活費用(家賃や光熱費や住民税、娯楽施設費用 等)
沖縄に比べ、東京の方がはるかに高いからです。

例えば、上の比較例でいえば、差分はΔ 211円です。
フルタイム(8時間)で働いたとして 211 * 8 = Δ 1688円
月20日勤務すれば、Δ 1688 * 20 = Δ 33760円

つまり、差額33760円ものお金を得ることになります。

例えば
沖縄の1Rで家賃4万円の場所に住むAさんと
同じく●●●東京1Rで家賃4万円の場所に住むBさん

一見して同じ家賃で生活しているのだから
東京の方が儲かるかというとそうではありません。

上でも述べたように、かかる生活費が違います。
憶測ですが、都心でアルバイトする方に時給およそ900円だと言えば
十中八九「安い」と言います。
(後に述べますが、私は神奈川のある地域でバイトしていた時は時給710円でした orz)

それは、生活の贅沢レベルの話ではありません。
何をするにしても、お金がかかることを実感しているからなのです。
東京近郊のカフェで、お茶すれば 900円では足りません。

ここで、話は「地方別賃金」から「平均時給」へとシフトします。
上でも述べたように
900円では安いと誰もが(ほとんど)言うでしょう。
しかし、時給1●●●円と言えば
へぇ、結構もらえるんだね と意外な反応が返ってきます。

ここに、「平均時給の罠」が隠れています。
巷にある求人情報誌や、Webサイトやスマフォアプリの求人広告を見れば
どれもまっとうな金額が書かれています。

そして、もっとも多く目につくのが
上の時給1000円~ という「平均値」なのです。

この「平均値」というのがやっかいで

知らず知らず、無意識のうちに
あっそういうもんなんだな。と思わせてしまうのです。

100円均一の商品棚に1000円の商品が紛れ込んでいれば
「高い!」と誰もが思うはずです。

それと同じ心理原則が働いているのです。

時給というのは本来、
そのお店のテナント代やお店の売り上げ
客単価、搬入出費用など 経営していく上で算出された金額から計算されます。

それではなぜこんなにも多くの求人情報が
平均的な時給(都心で言えば 980円~1300円ぐらい)でいるのでしょう?

答えは簡単です。
そうしないと人が来てくれないからです。

そもそも求人情報の広告自体 人手不足だから発行しています。
広告掲載料もタダではありません。

人手を多く●●欲しがるところほど
平均的な時給を掲載しています。

つまり
平均的な時給とは、あなたの価値基準ではなく
ただ単に市場に合わせているだけの数字でしかない
と私は考えます。

高すぎる時給は危ないのか?

ここで私のアルバイト経歴をご紹介するために簡単な表を作成しました。

アルバイト名時給(円)期間(年)地域
某ファーストフード店720 ~ 9507神奈川
某新聞の朝刊配達36001神奈川
某ホテル
冠婚葬祭配膳人アルバイト
13001東京(都心部)

表の一番上の某ファーストフード店は
高校3年間と大学4年間 就職するまでの計7年間もの間お世話になりました。
高校時代の頃は、人見知りが酷すぎて人と会話するのも苦手だったため
実はいろいろ受けたけど受かったのがここだけだったという自慢できない経緯があります。

私の身の上話は置いておいて、
みなさん気になるのはやはり二番目の
時給 3600円
の項目ではないでしょうか?

早速タネあかしをしてしまうと、これは実は時給換算しただけで
実際は日当3600円でした。

どういうことか
この某新聞配達(朝刊のみ)のバイト内容をかいつまんで話すと
AM1:30に出社し、新聞にチラシをはさんだ後
束を固定し、バイクに載せて指定の家に配達する というものでした。

実はこの作業、早く配り終えれば、直帰できます。

つまり、
平均1時間で配り終えていたので 3600円/時 なのです。

もちろん配り終えない日もありました。
まず「天気」に左右されます。
雨の日は、新聞を1枚1枚袋詰めにする必要があり
非常に時間がかかります。

また、オリンピックなどの時期は
新聞自体がギリギリまで刷新されているため、搬入まで待たなければ行けませんでした。

このような副要素がありますが
晴れの日は快適なもので、夏はバイクで涼みながら配れるので
気が晴れました。

ネックなのは、「深夜帯」かつ「週5日以上」ということもあり
学生時代の遊びたい盛りの時期には友人と会えず
いろいろ鬱憤が溜まっていました。

それでも実入りはホントに良く
実は、上の表のバイトを平行線で掛け持ちしていたころは
月の手取りはサラリーマンの新卒を超えていました。

話を戻すと

「高額時給」は本当に危ないのか?
という問いは間違っています。

「高額時給」のバイトは高額な理由があります。

その「理由」は下のようなことが挙げられると思います。

1.特殊技能、または専門性を持っている
2.お店側の客単価が高い。(性風俗・アルコールが絡んでいる)
3.深夜帯など、人間の生活リズムから逸脱している

上の1番目の理由は理解の通りです。
例えば大学の教授職の時給は6000円を超えます。
お医者さんも同じです。そもそも「時給」という概念が存在していません。
「スペシャリスト」です。
誰もができることではないからこそ、「高い」のです。

次に2番目は
よく女性の求人情報に掲載されているものなどがあります。
性的なサービスがなくても高額な時給が絡んでいるのは
客の金払いがイイということとお酒が絡んでいる事です。
お酒が絡むと、客単価も高くなります。

また一般的なガールズバーやスナック、キャバクラなどでは、お客さんからご馳走になることもあると思います。
飲めないとできないです。
また面白いトークも必要です。
接客スキルがないとやっていけません。
つまりこういったアルバイトでよく言われている「危ない」というのは
少し違っている気がします。(賃金未払いなどがあれば別ですが)
実際には「厳しい」から「高い」と言った方がしっくりきます。

3番目は
上の新聞配達の例でもそうですが、生活リズムが崩れる危険性があります。
例えば1:30~4:30まで配達してから1限の授業に出るには7:30に起きなければなりません。
3時間も寝れません。はっきり言って非効率です。
また体力勝負でもあります。
また軽視されがちですが、
接客業は特に 深夜帯は客層が悪いです。
酔っ払いもきますし、どこを見ているのかわからない人もきます。
独り言が絶え無い方もいますし、見るからに怖い人もきます。
効率がいいから深夜帯を選ぶ方がいますが、私の実体験で言えばお勧めはしません。

心身共に自信がある方ならおすすめです。実入りがイイのもまた事実です。
※実は最近は都心の深夜バイトはほとんど、海外から来た留学生などで埋まっています。
上にあげたような理由で日本人があまりやりたがらないのも理由の一つですが
根本的な意識の差で 外人は危険に慣れているまたは
危険耐性が高い傾向があります。
海外留学生とお話する機会がありましたが、話を聞く限り
「時給高い」=「儲かる」 と思考が直結していました。

最後に、よく求人誌に掲載されている「高額月収」について触れておきます。
「月収35万円~」という掲載を見て
「へぇ高いなぁ~」と思われる社会人の方は多いと思います。

私はシステムエンジニアで約6年働いていましたが
月収35万円~ となるとPL(プロジェクトリーダー)クラスへの昇進が必要か
もしくは よっぽど残業をしたか のどちらかです。

実はここに危険性があります。
やりがい搾取に注意!という記事でも触れましたが「募集要項」を良く確認して下さい。

もし上で記載した高い理由3つ
に当てはまらないようなら
間違いなく
それだけ多くの時間を雇用主に売ることになります。

「現代の檻」といって間違いありません。

これだけ物質的にも、テクノロジー的にも便利になった世の中でさえ
早朝電車で終電帰り(または始発で一時帰宅)の企業戦士は後を絶ちません。

時間は有限です。
「Time is money」ではなく「Time is not come back」です。

The man who dares to waste one hour of time has not discovered the value of life.
— Charles Darwin
(平気で1時間を無駄にする人は、人生の価値がわかっていない。 — チャールズ・ダーウィン)

今回は「平均時給」という概念について考えを記載してみました。
何かの気づきを提供できたら幸いです。